
目次
私たちは普段意識することは少ないですが、舌の位置が睡眠の質や健康に大きく関わっていることをご存じでしょうか?特に、舌の位置の乱れがいびきや呼吸に影響を与え、酷いときは睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因となることが明らかになっています。本コラムでは、舌と睡眠の関係について解説します。
1. 正しい舌の位置とは?
まずは、今の舌の位置を確認してみましょう。口を閉じてみてください。
閉じた際の舌の先はどこに触れていますか?
上顎(前歯のすぐ後ろ)に軽く触れている → 正しい位置
下の歯の裏や、舌が下がっている → 舌の位置が低い可能性
ご自身の舌の位置はいかがでしたか?
理想的な舌の位置(舌位)は、舌全体が上顎に密着し、舌の先が前歯のすぐ後ろ(スポット)に軽く触れている状態です。この状態を維持することで、気道が開かれ、自然な鼻呼吸が促されます。
しかし、舌が正しい位置にない場合は舌の筋力の低下が疑われます。特に舌が下がると口呼吸になりやすく、結果として気道が狭くなります。これが習慣化すると、いびきやSASの原因となり、睡眠の質の低下を引き起こす可能性があります。
2. 舌の位置と睡眠時無呼吸症候群の関係
舌が正しい位置にないと、以下のような影響が出ます。
・舌が喉の奥に落ちる(舌根沈下)
睡眠中は体の力が抜けます。舌の筋力が低下していると舌が支えられず気道閉塞を引き起こしやすくなり、低呼吸・無呼吸のリスクが上昇します。
・口呼吸になりやすい
喉が乾燥し、いびきや炎症のリスク増加を招きます。また鼻呼吸の時よりも咽頭が狭くなり上気道が閉塞しやすくなります。
・舌の筋力低下による舌肥大
舌の筋肉が衰えることにより、舌に脂肪がつき肥大化した結果気道を塞いでしまう。
上記の影響の結果、酷い場合、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)を発症することが考えられます。
大きな原因としては舌の筋力が低下すると、睡眠中に舌が支えられず、舌根が喉の奥に落ち込みやすくなり気道を塞ぎます。
そこにSASのリスクを高める要素として加齢による舌の筋力の低下や肥満による舌の肥大及び喉周りに脂肪がつくことによる気道の閉塞もあり、当財団の検査の傾向としても年齢が高いほど、肥満度の高いほどSASと診断されるケースが高くなっています。
舌の筋力を維持することは、SASの予防や症状軽減につながる重要なポイントです。
3. 日常的な意識で呼吸を改善する
舌の位置を正しく保つためには、日常的な意識とトレーニングが重要です。舌の筋力を鍛え、口呼吸を防ぐことで、気道の確保がしやすくなり、いびきや呼吸の質の改善につながる可能性があります。
舌の正しい位置を意識することやトレーニング方法
・舌全体を上顎につけるように意識する(舌の先は前歯のすぐ後ろに軽く触れる)
・口を閉じて鼻呼吸をする習慣をつける
・姿勢を正し、顎を引きすぎないようにする
・「あ・い・う・べ」と大きく口を動かして発音することで、舌や口の周りの筋肉を鍛え、舌の位置改善を促すあいうべ体操の実践。
4. まとめ 舌の位置を整えて質の高い睡眠を
舌の位置が正しくないと、就寝時にSASを引き起こす原因となり、睡眠の質が低下し、日常生活のパフォーマンスにも影響を与える可能性があります。
逆に、舌の筋力を鍛え、正しい位置を意識することで、気道を確保し、改善につながります。
健康な睡眠のために、まずは「舌の位置」に注目してみましょう。
もし舌の位置が下がっている方は日中の眠気やだるさ、常習的ないびき、睡眠の質の低下を感じる場合、今のご自身の状態を知っていただくためにも当財団のSASスクリーニング検査を受診いただくことをおすすめします。