2003年に起きた山陽新幹線の運転士による「居眠り運転」によって睡眠時無呼吸症候群が注目されました。犠牲者の出る事故ではありませんでしたが、運転士が眠ったまま約8分間も時速270kmの速さで疾走ししています、もし自動列車制御装置によって停車していなければ、重大な事故を引き起こしていたと容易に判断できます。
こういった人為的なミスの多くは、ほんの些細な気のゆるみや、普段なら気にしないような体調不良、さらには何らかの原因によって招いた睡眠不足という現実によって引き起こされています。たかが「寝不足」、されど「寝不足」……これまでの経験から次につながる改善策を学ばなければなりません。睡眠不足とその原因となる要素には、自らが進んで早めの対策を施す必要があります。

実は多い睡眠障害による事故

「睡眠不足」が原因とされる場合、人為的な油断ばかりが問題とは限りません。睡眠時無呼吸症候群の症状のように、日中の耐え切れない眠気、四六時中付きまとう倦怠感や頭痛などは、生活に支障を来すほどの危険をはらんでいます。現代の車社会では、その危険度はさらに高まります。レジャーなどでの運転ばかりではありません。バスやタクシー、その他仕事のために使用する車輛の運転では、周囲を危険に巻き込む恐れも多大です。また、人の命を預かる、守る、支える仕事の従事者なども、たかが寝不足と侮れない環境下にあります。注意すべきは、個人では解決できないような「睡眠障害」であると、気づかずにいる場合です。「自分が気をつけて、がんばれば何とかなる」ではなく、気になる症状がある時には、早めに検査や治療を受けられる状況を作り出すことに注力しましょう。

現代人にも多い過労や寝不足は侮れない

「いびき」と睡眠時無呼吸症候群は密接な関係にありますが、いびきの原因である上気道の閉塞は、加齢をはじめ、基礎的な筋力の低下、肥満、過度の飲酒、喫煙習慣、睡眠薬の常用など、様々な要因によって引き起こされます。
睡眠時無呼吸症候群の恐ろしさは、その症状だけではなく、様々な合併症を引き起こす可能性が高まる点にもあります。高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病、不整脈や心不全など、それぞれの疾患を悪化させてしまう恐れが伴います。
最初はいびきから始まっているのかもしれませんが、その後の対策の判断を誤れば、重篤な症状へとつながってしまうことも十分に考えられます。起床時の頭痛や倦怠感、日中の激しい眠気など、「いびき」に伴う異常を感じたり指摘された場合は、できるだけ早めに検査を受けることをお勧めします。

大きな事故を起こす前にいびきの改善から

事故や事件の原因が明らかに「寝不足」だったとしても、大きな事故や事件であればあるほど、人は自分にも起こりうることと意識しにくいのかもしれません。
事件や事故につながる前に改めて考えてみましょう。誰にとっても等しく「いびき」や「寝不足」が原因で、重大な事態を招く可能性があります。
「いびき」や「寝不足」が、自分の命はもちろん、人の命にも関わる危険につながっていることを強く意識してください。
自分の「いびき」が気になりはじめた、周囲に「いびき」を指摘された場合は、ご自身の「いびき」について、真剣に考え以下の項目を参考にチェックしてみてください。
いびきが大きい、大きいといわれることがある。朝までいびきが続く。夜中に何度も目が覚める、頻繁にトイレに起きる。寝苦しいことがある。寝起きが悪い、すっきり起きられない。起床時に頭痛がある。睡眠時間は十分なのに、日中眠くなる。運転中など重要な場面でも眠くなる。よく寝ているはずなのに疲れが取れない。生活習慣病がある。
これらの項目のいくつかに当てはまるとしたら、早めに検査を受けましょう。睡眠時無呼吸症候群であるとは限りませんが、近い将来のSAS予備軍であることは容易に想定できます。
現代人の過労や寝不足は残念ながら慢性化しているといえます。そのため医師への相談はもちろん、ご自身での対応・対策が必須です。病院に通うことが難しい場合でも、ご自宅でできる睡眠時無呼吸症候群の簡易診断検査もありますので、ぜひお試しください。